ある島でのケータリング

ある島でのことです。人口は300人ほどですが、ここでも過疎化がすすみ、高齢者が多人口構成になっていました。
ほとんどの人は自給自足で、島の外に出ることはめったにない静かな島でした。
そこに都会から久しぶりに帰京した若者がふと考えたことがありました。
都会で暮らすうちに、懐かしく思い出すこの島の人たち、自分はみんなのおかげで育ったんだと思っていました。
だから今何か恩返しがしたいと・・・。そこで考えた島の人たちへのプレゼントが「ケータリング」でした。
実は若者は都会でフレンチレストランのシェフをしていたのですが、この島の人たちにも是非フレンチを味わってほしいと思いました。
レストランなど一軒もないこの島でどうしたらいいか?
そこで自分の仲間を呼んで都会の味をケータリグしたのです。
しかもそのアイディアはどんどん膨らみ、美容室で働く友人たちにも声をかけ協力を仰ぎました。
その若者の狙いは島のおばあちゃんやおじいちゃんたちを招き、フレンチを食べてもらうだけでなく、ちょっといつもと違う雰囲気を味わってもらうために、めったに行かない美容室もケータリングとしてこの島に呼び、頭も顔もきれいにおしゃれして、ちょっと気取って普段は使わないフォークなども使ってフルコースを味わってもらおうというものでした。
もちろんレストランは島の公民館を使います。
集会用のテーブルに白いクロスをかけ、花やロウソクでテーブルセッティングをして、特別なフレンチレストランの出来上がりです。
でも都会のレストランとは違い、ナイフやフォークで緊張することはありません、ちゃんとお箸も用意してあります。
おばあちゃんたちはこのアイディアを気に入ってくれるかなと心配したものの、娯楽のないこの島ではそのユニークなイベントに、みんなの期待も高まり、希望者が殺到しました。
結局一日3回に分けて2日間、この特別レストランはオープンし、イベントは成功したそうです。
これには、後日談があって、実は若者は都会でちょっと行き詰っていたんです。
さらに自分の働く店も経営が思わしくなくなり、迷い悩んでいたようなのです。
でも故郷のこの島で自分の料理がみんなにすごく喜んでもらえたことで、元気になり、リフレッシュして都会に戻ることができたそうです。
そしてこれを機に都会でもケータリングビジネスを始めて、お店も経営を立て直すことができたそうで、なんだかドラマになりそうな、ハッピーエンドのお話なのでした。

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